Ψυχή – Dawn 13
Act Two: Encounters and Conflict
Ψυχή (Psyche) is the Greek word for “life” and “soul.”
13『O.UNI-X 会議と決断』 多くの問題と月の移動
メインスクリーンには、第四惑星の状況を示す様々なデータが、複雑に絡み合いながら表示されている。ワンとマザーは、この問題の解決策を模索するため、緊急の会議を開いていた。
「マザー、第四惑星の問題を洗い出して、対策の候補をあげて」
ワンの指示に、マザーは粛々と問題を列挙していく。
「議題:第一に、惑星意識であるLENの惑星上の知的生命体への過干渉。第二に、古きLENの二柱が第四惑星上で国同士の国力を競い合っている状況。第三に、古きLENの二柱が第三惑星に元々あった月を移動させた事実。これにより、恒星系が生まれて間もないにもかかわらず、知的生命体の文明が発展しすぎている問題」
マザーの報告に、エフトが思わず声を上げた。
「え、月を移動させたってどういうこと!?そんなことできるの!?」
「彼らは、我々の常識では測り知れない力を持っている。その月が、第四惑星の過剰なLEP発生源となっている可能性も否定できない」
ワンが答える。
「第四に、この異常な状況が、宇宙の過剰な免疫システムとも言える無法集団(SIN)を呼び寄せる可能性。第五に、今回の探索でこのミッションが最後とならなかった場合の、ラブ達O.UNI-Xクルーが被るであろうペナルティ……」
マザーの声がブリッジに響き渡る。多岐にわたる問題の複雑さに、クルーたちは皆、重い沈黙を保っていた。
ワンはすべての情報を統合し、深く思考した後、一つの結論を導き出した。
「マザー、最終的な結論として、全てを丸く収めるための案を提案する」
彼の言葉に、クルーたちの視線が一斉に集まる。
「月を第三惑星にコッソリ移してしまい、これ以上のLEP供給を断ち、第四惑星については様子見とする」
ワンの提案に、エフトとライトが目を丸くする。シオルは「また宇宙の法則を捻じ曲げる気!?」と叫びそうになったが、かろうじて飲み込んだ。
「まさか、そんな荒業を……」
ライトが呆れたように呟く。
「古きLENの二名は、LEP供給が完全に断たれるまでの間に、国同士の決着をつけようとしていることが明らかになっています。月の移動は、彼らの競争を加速させることにもなる。だが、それがこの惑星の生命にとって、より自然な道筋となるだろう」
ワンは続けた。
「そして、第三惑星ではLEP供給源である月が得られ、月の重力により惑星の温度の上昇が見込まれる。そうなれば、第三惑星が再び生命を育む環境を取り戻す可能性も生まれる」
それは、いくつもの問題を一挙に解決し、さらに失われた第三惑星に希望をもたらす、一石三鳥の策に思えた。しかし、その決断は、新たな未知への扉を開くことにもなるのだった。
to be continued…
Ψυχή-黎明