Ψυχή-黎明 06
第一幕:来訪者
LEP ライフ・エレメンタル・パーティクル
06『O.UNI-X 帰還』 絶望とワンの決断
白く輝く「門」から、O.UNI-Xは再び元の宙域へと舞い戻った。メインスクリーンに映し出された第三惑星の姿は、多層空間で見た風景と何ら変わっていない。水は干上がり、大気は消し飛ばされ、地表には巨大なクレーターが無数に口を開け、まるで世界の終末のような「すっちゃかめっちゃかな状態」が広がっている。
「……うそ……でしょ……」
エフトの口から、絶望的な掠れた声が漏れた。
今回の航行が、ラブとライトと共に組むiWizのメンバーにとって、そしてO.UNI-Xにとっても最後のLEP運搬ミッションだったはず。なのに目的地である第三惑星が、LEPを撒いても何の意味もないほど荒廃している。
「こんな惑星に、LEPを運んでも……」
エフトの瞳に絶望の色が広がっていった。
ライトは、その悲惨な光景を前に、ただじっと押し黙っていた。いつも冷静な彼も、この状況には言葉を失っているようだ。
ラブ船長は、悔しそうな表情で第三惑星を眺めていた。彼女の瞳には、この惑星に蒔くはずだった生命の種と、その機会が失われた無念が映し出されている。
「ワンちゃん!何とかならないの!?このままじゃ、私達……!」
エフトが、藁にもすがる思いでワンに懇願した。 ワンは、ブリッジ後方で観測装置のホログラムを操作しながら、指先の動きでマザーへと現状報告を繰り返していた。彼の指は慌ただしく動き、その表情は真剣そのものだ。
「――報告。第三惑星、大気消失。水資源枯渇。生態系崩壊。LEP投下、現状では効果なし……」
マザーの無機質な声が、絶望的な状況を淡々と告げる。 ワンは思考を巡らせ、マザーからの情報を統合し、LEPからの微細なシグナルを読み解きながら、懸命に活路を探していた。
そして、幾度かの報告と分析を繰り返した末、彼の口から、一つの結論が紡ぎ出された。
Ψυχή-黎明