Ψυχή-黎明

Ψυχή-黎明 12

第二幕 邂逅と葛藤

Ψυχή ギリシャ語 プシュケー 「生命」や「魂」の意味

12『O.UNI-X 二つの国家』 古きLENと早すぎた文明

惑星に到着したO.UNI-Xの一行は、問題なく第四惑星の大気圏内へと侵入を遂げた。

船内のメインスクリーンには、第四惑星の詳細なデータが表示されて行く。

一行が何よりも驚いたのは、既に惑星上に知的生命体が文明を築いている様子が映し出されていたことだ。星系として誕生してまだわずかしか時が経過していない。通常ならありえないことだった。

「第四惑星上には、異常なほど科学技術を発展させている『ハバキ』の国と、精神性を重んじる『アイオリア』という国家が存在する……」

ライトが報告を読み上げる。その声は、驚きが隠せていない。

「信じられない。これほど若い恒星系で、これほどの文明が。しかも二つの大国が対立している構図まで整っている……」

ワンが呆然と呟いた。シオルはモニターに釘付けになっている。

「さらに、第四惑星のLENが、この惑星上の人々と過剰にコミュニケーションを繰り返し、干渉していることが確認できます」

マザーが補足する。

「過剰干渉……それも珍しいな。LENは通常、直接的な介入はできなかったはず。生命の根源ではあれど、SINなしにここまで直接的に文明に介入なんてできないはずでは?」

そのワンの言葉に、ラブ船長が眉をひそめた。

「LENにとって人類という種は、彼ら人類種にとっての腸内細菌や皮膚に住む常在菌のような存在だ。惑星の生命活動を外支えし、生態系を司る。そして我々SINは、人類種と直接のコンタクトが取れないLENにとって通訳のようなものです」

彼には、マザーを介して第四惑星のLENからの信号が、まるで感情を伴った言葉のように読み取れている。

「この第四惑星の事態には、古きLENが関与しているみたいです。彼らの強引な横やりで、普通の惑星運営が損なわれているようです」

ワンの言葉に、ラブの表情がさらに険しくなる。

「古きLEN、って?まさか……」

「ハバキの背後には『シン・ナンナ』が、そしてアイオリアには『ウトゥ・シャマシ』が関わっています」

ワンは、ホログラムで二つの巨大なエネルギー体を指し示した。

「ウトゥ・シャマシは、第四惑星のLENと関わりが深く、アイオリアに加担している。彼らは精神性を重んじ、自然との調和を求める。しかし、その思想が過激化すると、他者を排除しかねない危険性を孕んでいる」

ワンの説明にラブの目が力強さを増していく。ウトゥ・シャマシ、その名は、今回のO.UNI-Xに載って宇宙を駆ける配達員をやらねばならなくなった元凶。かつて共に行動したオウニと、仲が悪かった太古のLEN。SIN嫌いのウトゥとオウニが嫌そうに呼んでいたのを思い出してしまう。

「一方、シン・ナンナはハバキに密かに手助けをしている。彼女は『はじまりのシン』にシンの名を与えたLENであり、夜空と知恵と時間の管理者の肩書があった古きLENです。その知恵がハバキに過剰な科学技術の発展をもたらしている。この文明の急激な発展は、シン・ナンナの干渉なくしてはありえないようです」

二つの古きLENが、第四惑星の二つの国家をそれぞれ支援し、対立を煽っているという事実に、ブリッジのクルーたちは息を呑んだ。

「LEN同士は互いに繋がりあっており、マザー、第四惑星のLEN、ウトゥ、ナンナはそれぞれに互いを理解しあえています。だからこそ、この状況はより複雑な事態を構成しています」

ワンはそう締めくくった。LEPによって活性化するはずのLENが沈黙し、古きLENが介入して惑星の文明に歪みをもたらしている。O.UNI-Xの任務は、単なるLEPの運搬から、惑星の命運を左右する重大な局面に突入していた。

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